スロウハイツの神様
人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー
あの事件から10年。
アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。
(Amazonより引用)
タイトル:スロウハイツの神様(上下)
著者:辻村 深月
さて、今回感想として書くのは、講談社より出版されている本です。
簡単に言うと、小説版トキワ荘みたいな感じです。
小説家のチヨダ・コーキ、脚本家(卵?)の赤羽環、漫画家志望の狩野壮太、画家卵の森永すみれ、映画監督志望の長野正義が話のメインキャラクターです。
メインキャラクター達は赤羽環がオーナーを務めるスロウハイツで共同生活を行っており、それぞれのキャラクターの葛藤等を順々に掘り下げていきます。
いちばんの肝はチヨダ・コーキの作品で人が死んだ・・・・・この話の掘り下げ方とチヨダ・コーキが復活するまでのエピソードが一番素敵です。
それ以外にも登場人物たちのエピソードの掘り下げ方が非常に面白いんです。
共同生活で男女なので、当然恋愛が絡んできたり、全員がクリエイターの卵なので作品に対する葛藤で掘り下げたりしていきます。
言ってしまえば、青春小説になるかと思います。それぞれの登場人物が夢を叶えるために取捨選択を迫られたときに何を選ぶのか。葛藤や苦悩、誰にも話すことが出来ずに抱え込んでしまうことの辛さが言葉巧に描かれています。
また、共同生活をしているため、誰かに話をすると他の誰かにも影響を及びしかねない、けれども、話さずにはいられない。
もう少しお互いが大人だったら違ったのかもしれないしれない。
私たち人生でも同じような事があると思いますが、その時にはきっとこの作品を思い出すんだろうなと個人的には感じています。
今、少しでも対人関係や仕事の進めかた、人生で何を夢にして進んでいけばいいのか悩んでいる方におすすめです。
私たちのは間違いをすることがあるけれども、それは決して間違いではないんでしょう。
おわり